ダイヤモンド・オンラインによる独占インタビューの引用である。
以下、引用。
時間との闘いだった、資金繰り
2月の立ち入り検査以降、NOVAの入学者は激減した。業績が落ち込む中、猿橋元社長は経営建て直しのためにファンドや自分の知り合いを通じて資本業務提携先を探し始めた。ファンドから紹介された丸井とは契約寸前まで行ったのだが、6月上旬に破談してしまう。途端に6月末の資金繰りが厳しくなった。そしてそれに追い打ちをかけるように、6月13日、経産省から「事業停止」という厳しい処分が下った。
Q 2月の立ち入り検査が、事業停止につながるということは予想していましたか。
猿橋 入学者の落ち込みは5月には落ち着きつつあったのですが、5月の上旬ごろから、経済産業省から変なことを言われ始めたんです。
たとえば、「時間と曜日を自由に選べる予約制と書いてあるが、自由に選べないときもあるだろう。これは誇大広告じゃないか」とか。
でも、いつでも自由に受けられるなら予約はいらない。予約制ってそういうことですよね。ほかにも、スタッフが入学申し込みの日付を書き忘れた契約書を出してきて、起算日がないのはクーリングオフ妨害だとか、妙なところに指摘が入ってきた。
「6ヵ月間の業務停止になったらおたくはどうなる?」と聞かれたこともあります。「そんなことされたら、ウチは飛んじゃいます」と答えると、「そんなことはないだろう」と当社の決算書を見ながら、「ここに250億円もあるじゃないか」と前受金のところを指して言うんです。流動負債に上げているレッスン料の前受金です。バランスシートが読める人にとっては常識のはずですが、あくまで会計上の金額であって、キャッシュがあるわけじゃありません。
そんな珍問答もあったので、「なんかまずいな」という雰囲気はありました。でも、せいぜい「指導」で、まさかいきなり「業務停止」が来るとは思っていなかった。6月13日に行政処分を受け、入学者の落ち込みはさらに落ちました。
Q 丸井との資本提携も破断し、資金繰りのメドも立たなくなっていた。
猿橋 これはえらいことだと、資産を片っ端から売却に入りました。生命保険、有価証券、不動産。私はゴルフはしませんがつきあいのなかで買ったゴルフ場の会員権もありました。売れる物はすべて売って、なんとか6月は超えました。
新たにFAにした新生銀行は大車輪で動いてくれました。新生銀行がファンドを当たり、私は事業会社のほうをいくつか当たりました。
その中にHISがありました。澤田会長とのあいだでは話はまとまっていて、7月中旬の月曜日、その日の役員会で会長がこの案件をかけることになっていた。
ところが、どこから漏れたのか、その日の朝日新聞の朝刊ですっぱ抜かれた。当然、HISの役員会は大紛糾。うちはジャスダックからばんばん電話がかかってきて、この話は私しか知らない話ですから、広報は「そんな事実はいっさいない」と全否定しちゃったんですね。
Q 一連の交渉は社長しか知らなかったのですか。
猿橋 こっちはね。向こうは話をもんでいるから1人じゃないとは思いますが。とにかく役員会が紛糾しちゃって、いまはちょっと難しいということになり、HISの話も消えました。
リークといえば唖然としたことがあって、HISとの話の前のことですが、経産省に状況報告に行った際、単独ではなく資本業務提携を考えていると伝えたんです。すると「どこと話を進めているのか」というから、私が「言えません」と答えると、「公務員には守秘義務があるんだから教えろ」ということになり、「では、某大手流通とだけ言っておきます」と言ったら、すぐにニュースになった。それから1週間くらいして経産省に行くと、「あ、こないだ取材が来たから、言っといたから」。本当に、たまりません。
Q 他にも提携の話はあったんですか。
猿橋 新聞に名前が出たところは事実です。全部、経産省が漏らしたんだと思いますが。
とにかく6月、7月は危機感の塊で、私は東京で資金繰りに奔走し、役員会どころじゃないという状況でした。とにかく増資をしなければなりません。相手が事業会社なのかファンドなのか、あるいは自己増資なのか、そんなのどうでもいい、資本注入しなければどうにもならない。6月は超えましたが、7月末にまた壁にぶつかる。そこをどう乗り越えるかものすごい危機感でした。
Q 給料の支払いに必要な額は1回当たりいくらですか。
猿橋 払い込み額ベースで、講師への給料が約10億、スタッフが約5億ですね。NOVAの給料日は、毎月15日が講師、27日がスタッフと毎月2回あるんですが、7月末は初めてスタッフの給料が4日間遅れてしまいました。7月27日の給料が8月1日になった。
なんとしても給料は払わなければならないと、いろんな調達をしてきたんです。私自身のキャッシュも使ったり、私個人の株券を担保に金融で調達したりとか、なんとか資金調達をしながら払ってきた。
Q 個人で突っこんだキャッシュはいくらくらいになりますか。
猿橋 直接出したのが3億3000万円。非連結の個人会社に対する貸し付けもだいぶあるのですが、そっちからNOVAに回しているのもあって、トータルすると13億~14億円くらいです。
Q 遅配になったとはいえ、7月末はなんとか資金繰りがついたというわけですね。
猿橋 7月31日に着金があったんです。報道もされた、例の"貸株"での資金調達です。800万株が行方不明というやつです。
Q あの行方不明になった貸株というのはどういう経緯だったのですか。
猿橋 巧妙にやられてしまったというか。完全に詐取だと思っています。スタッフに7月の給料を支払うために、なんとしても5億円を調達する必要がありました。その際、紹介者を介して知り合った金融コンサルティング会社から、今は株で調達するしかないだろうと言われ、2200万株を預けてしまった。株式会社ルーツという会社です。今から考えたらうかつでしたが、それほど切迫していたんです。ただ、これは預けただけです。貸株ではありません。
このうち1100万株を貸株契約して7月末に約5億円。正確には4億9500万円の資金調達をしました。500万円が手数料です。これで8月1日に給料を支払うことができました。
この貸株契約した1100万株で借り入れた4億9500万円は、8月6日に社債7億5000万円に振り替えました。1100万株も、8月10日に返ってきています。
ところが、残りの1100万株は預けただけなので、返すよう要請したのですが、今後の資金繰りで使うかもしれないのでしばらく預からせてくれと言って、300万株しか返してきませんでした。貸株ではなく、預けただけの800万株は今にいたっても返却されていません。
Q これはだれにも相談せずに自分の判断でやったことですか。
猿橋 私個人の株ですからね。
以上、ダイヤモンド・オンラインからの引用でした。
